『ちょっとわかればこんなに役に立つ
中学・高校物理のほんとうの使い道』
著者: 京極一樹
発行日: 2011/9/7
頁数: 208頁
本体価格: ¥800(税抜)
発行部数: 22,000部(2011/9/14現在)
はじめに
大好評の『中学・高校数学のほんとうの使い道』に続いて、その「物理編」を書く機会を頂戴しました。本書では「物理の楽しさ」をご紹介したいと思います。そして、物理に関する簡単な微積分と角運動保存の法則も解説します。
日本の高校の物理を難しくしている1つのポイントは、「微積分を避けていること」ではないかと思います。位置・速度・加速度の関係や力とポテンシャルの関係だけでも微積分を導入した方が物理がわかりやすくなります。ニュートンもそのために微積分を考え出しました。
角運動量保存の法則は、中学・高校のの理科が「身近なもの」にアプローチするなら避けられないものです。これが、2012年から導入される新学習指導要領から再び登場します。これでやっと、自転車がなかなか倒れない理由やフィギュアスケートで腕を上にかかげるとスピンが早くなる理由が理解できます。
物理は、数学とは事情が少し違い、ある程度社会に直結して役に立つ学問だと思います。しかし「難しい」という点は共通しているでしょう。そしてその原因は、応用例の数が多すぎて高校数学と同様に詰め込みのきらいがあることと、高校理科のカリキュラムの複雑さ、整理不足にあると思います。
過去50年間の度重なる学習指導要領の改訂で、物理学の本来は理路整然とした体系が跡形もなく崩壊してしまいました。この間には「ゆとり教育の挫折」と「週5日制の導入」がありました。そのため、分量の削減や再構成にある程度の時間が必要であったことは勘案しなければなりませんが、体系の破壊は目にあまります。しかし2012年から導入される新学習指導要領でやっとその本来の姿が復活しそうです。
学習指導要領の変遷の解説は本書の主目的ではないので、これは各章末のコラムで語ります。「物理I」「物理II」や「物理IA」「物理IB」「物理II」あるいは「理科基礎」「理科総合B」「理科総合A」などが次々と登場し、最後は2012年から「基礎物理」「物理」「科学と人間生活のかかわり」に落ち着きます。このあたりは、お子様をお持ちの方には興味ある内容だと思います。
読者の方々の物理のご理解の一助となれば幸甚です。
2011年7月 著者
第1章 力学はどう使う?
1 ニュートンの法則は何の役に立つのか?
2 運動方程式はどう使うのか
3 慣性の法則はどう使うのか
4 ニュートン力学以外の力学とは
5 力はどのように分解・合成するのか
6 横転したジープは起こせるか
7 放物運動はどう使うのか
8 国際宇宙ステーションの周回速度を求める
9 スペースコロニーで重力を生み出す方法
[コラム] 理科基礎や理科総合A・Bとはどんな学科か
第2章 運動量とエネルギーはどう使う?
1 エネルギーとはどんなものか
2 エネルギーの保存則は運動方程式の積分
3 エネルギーにはどんな種類があるのか
4 なぜジェットコースターは落ちないのか
5 万有引力のポテンシャルはどう利用するのか
6 静止エネルギーの大きさはどれくらいか
7 運動量保存の法則はどう使う
8 ロケットはどうやって飛ぶのか
[コラム] 物理I・IIと理科基礎や理科総合A・Bの関係
第3章 高校物理に復活する角運動量はどう使う?
1 2012年から高校物理に復活する角運動量
2 慣性モーメントの求め方
3 角運動量保存の法則はどう使う
4 「はやぶさ」の姿勢制御
5 突然太陽が消えたら地球の角運動量はどうなるか
[コラム] 過去50年の高校理科の変遷
第4章 周期運動の物理はどう使う?
1 周期運動とは何か
2 振り子の運動は単振動か?
3 メトロノームのしくみ
4 リサージュ図形は周期運動の組み合わせ
5 重力列車はどこをつないでも42分
[コラム] ゆとり教育と週5日制の導入の結果
第5章 惑星運動の物理はどう使う?
1 ケプラーの法則とニュートン力学の関係
2 惑星・衛星・彗星の軌道はどう違う
3 太陽系惑星や銀河系の星々はどのように周回しているか
4 ラグランジュ点とは何か
5 ラグランジュ点はどこにあるのか
6 ラグランジュ点には何があるか
[コラム] 中学物理と高校の物理I・IIの比較
第6章 波の物理はどう使う?
1 波の種類と音速・光速と波長の関係
2 波の3要素・音の3要素とエネルギーの関係
3 音波と音速の考え方
4 地震波は縦波・横波・表面波の組み合わせ
5 津波の速さは水深の平方根に比例する
6 音と光のドップラー効果
[コラム] 物理I・IIと物理基礎・物理の比較
第7章 電磁気の物理はどう使う?
1 電流と磁場は表裏一体
2 電動機(モーター)はどうして回る
3 リニアモーターカーのしくみ
4 直流・交流の発電機のしくみ
